2012年09月10日

日本三大秘境のひとつ「祖谷(いや)」と古民家再生 NO.2


前回の
日本三大秘境のひとつ「祖谷(いや)」と古民家再生 NO.1 
続きです!読んでいない方は ↑ ↑ をクリックしてくださいね♪



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↑<篪庵>の有る風景

今から約40年前、アレックス・カー氏は初めてこの集落(祖谷)を訪れました。
この地に魅了され当時空き家だった、築約300年ほどの
茅葺き屋根の古民家を購入し、しばらくそこで暮らしていたそうです。

フルートが趣味だったアレックス・カー氏が私の城と称したこの家に
小さな竹の横笛という意味の「篪(ち)」と
家を意味する「庵(いおり)」を合わせ<篪庵>と名付けました。


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↑建物の大きさも風格も<浮生>とは違う<篪庵>

この篪庵は、今のNPO法人「 篪庵トラスト」のきっかけとなり、
現在は「篪庵トラスト」が直営する宿泊施設にもなっています。

↓「篪庵トラスト」が直営する、築約300年の茅葺き民家ステイ<篪庵>

http://www.chiiori.org/
<篪庵>は、「桃源郷祖谷の山里」とは別の場所
祖谷の「釣井集落」内にあります。

↓アレックス・カー氏の活動に関するサイト

http://www.alex-kerr.com/jp/index.html

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↑<篪庵>の堂々とした玄関を入った目の前はキッチンになっていました
 左に見える襖には、アレックス・カー氏が
 毛筆で書いた「篪庵」の文字が見えます


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↑太く黒光した天井の梁、天井の高さが広い空間を
 より一層魅力的にみせています


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↑窓からの風景は、額縁に納められた1枚の絵画のようです

<篪庵>に宿泊される全体の約半数は、海外からのお客様だそうです。

ここには、具体的な何かがあるわけではありません。
何もないこの空間に身をゆだね昔ながらの日本の風景を楽しむ、
ただそれだけのために人はやってくるのだとか。

みんなで囲炉裏を囲み談話をする、
縁側に座り刻々と変わる風景をただひたすら眺める。
何をするわけでもなく、そこにいることだけを楽しむのだそうです。


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↑2つも囲炉裏があります!

アレックス・カー氏は、祖谷に戻り予約が入っていない時は
今もここで寝泊まりしているとか。
好奇心旺盛で誰とでも気さくに話しをするフレンドリーな方だそうで、
イベントで人を集めて楽しませることが好きなんだそうです。

私も一度、会ってみたいな。


ここからは、ガラリと変わります。
祖谷の観光名所のひとつ「かずら橋」を渡って来ました!


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↑幅約2m、長さ約45m、水面からの高さ約14mの「かずら橋」

平家の落人が追ってから逃れるため、
いつでも切り落とせるように作った吊り橋。

日本三奇橋の一つで、重さ5tのシラクチカズラで作られています。


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↑かずら橋の下を流れるの祖谷川
 水に濡れると緑色に変わる「阿波石」のおかげで、
 エメラルドグリーンの透き通った水面をたたえています


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↑みんな怖そうに「かずら橋」を渡っています

一歩でも踏み外すと落ちてしまいそうな緊張感がたまらない!
との理由から一部の旅行好きの間で人気になり
この「かずら橋」には、年間約35万人もの観光客が訪れるのだとか。

その甲斐あってか、死ぬまでに一度は渡ってみたい
「世界の吊り橋10選」にも選ばれています!
(日本からは、この「かずら橋」と静岡県の「夢の吊橋」の2つが選ばれています)

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↑それもそのはず!橋の床に渡された横木の間隔は約15cmも空いています

踏み外すと橋から足が突き出るに違いない!
過去に、そんな観光客はいなかったのだろうかと想像してしまいます。

昨日の雨で横木はしっとりと濡れ、ますます怖い。。。
動くたびに橋はユラユラと揺れスリル満点です。


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この「かずら橋」は、国・県指定重要有形民族文化財に指定されています。
3年に1度、架け替えが行われているそうで、ちょっと安心しました。

みなさんも機会があれば、このスリルをぜひご体感ください!!






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日本三大秘境のひとつ「祖谷(いや)」と古民家再生 NO.1


徳島県三好市に、日本三大秘境(※1)のひとつ
「祖谷(いや)」という場所があります。

世間を遠ざけるように人知れずひっそりと
時を重ねてきた山深き渓谷の集落。

ある人は「日本のチベット」と称し、
ある人は「日本のマチュピチュ」だと言うその場所を、
アメリカの東洋文化研究者アレックス・カー氏は
「日本のグランドキャニオン」と呼びました。

↓アレックス・カー氏について byフェリシモ「日本の美しいもの」

http://www.felissimo.info/nihon/about/

また、この祖谷は源平合戦・屋島の戦いで敗れた
平家の落人が隠れ住んだという伝説が残っている場所でもあります。

都会の喧騒とはまるで無縁の山里。
車で向かう道のりにもワクワクします♪
パラパラと降り出した雨が暗くなり始めた風景に
幽玄さをプラスしています。

道はどんどん細くなり、大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)の
祖谷川沿いを蛇行しライトが照らす山中へと車を走らせます。

秘境というからには、土埃が舞い石ころがゴロゴロしているような
ガタガタ道を想像していたのですが、意外にも
ちゃんとしたアスファルト塗装の道だったのでビックリ。

祖谷の宿に到着する頃には、雨はすっかり本降りで
民家も少なく街灯もないせいか、周囲は暗闇に包まれていました。


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↑宿泊した「茅葺き屋根」の古民家 築約100年

宿泊したのは、徳島県三好市が運営する
「桃源郷祖谷の山里」の<浮生>という名付けられた築約100年の古民家。

「桃源郷祖谷の山里」には
2012年4月にオープンした<浮生>と
2012年7月にオープンした<雨読><耕晴>の計3棟の
茅葺き民家ステイがあり、アレックス・カー氏が代表を務める
NPO法人「篪庵(ちいおり)トラスト」が
三好市からの委託を受けプロデュースしています。

この3棟は、2005年に
国の重要伝統的建造群保存地区に指定された「落合集落」内にあり
<浮生>は集落の一番上・標高860mの山の斜面に建っています。

↓「桃源郷祖谷の山里」のホームページ

http://www.tougenkyo-iya.jp/

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↑囲炉裏や黒光りした床と天井の梁が古き良き日本を蘇らせる
 「水」と書かれた床の間の掛け軸は、アレックス・カー氏の直筆

薄暗い室内にともるほのかな照明の明かりは
気持ちのゆとりと安心感を与えてくれる。
蛍光灯で煌々と照らされた室内が当たり前になった現代では
茅葺き古民家のこの雰囲気は、貴重な体験だ。


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↑便利が当たり前の時代。宿泊者に不便がないよう
 キッチン、浴室、トイレは近代的な設備になっていました。

ちなみに、水道設備がないため
お水は山の谷から引いてきているそうです。
飲んでみたら柔らかくて美味しいお水でした。
もちろん飲料水としては問題ないそうなので念のため!

でも、海外旅行でお水が原因で痛い思いをしたことがあったり
気にされる方のために、
ウォーターサーバーも用意されているのでご安心を!


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↑ホテルのような設えです

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↑夕食はケイタリングを予約!みんなで囲炉裏を囲み談笑♪
 祖谷そば・そば粥雑炊・ほど芋・石豆腐(いわとうふ)といった
 祖谷の郷土料理が満載です♪

鶏がコケコッコーと朝を告げる早朝5時。
早く秘境の風景をみたくて、早起きして宿の周辺を散策♪

どこにいても平等にやってくる朝なのに、祖谷の朝はどこか違う。


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↑<浮生>の窓から見た早朝の風景。昨日の雨に続き、あいにくの曇り空
 山にかかる雲をこんなに近くに感じたことはありません

襖を開けると、山と山の間に吸い込まれるように雲が流れ、
雲自体が意志を持って動いているような感覚にとらわれます。

朝、雲海ができていたら晴れ、雲が山へ流れていたら雨というふうに、
ここに住む人は、この雲で天気予報をするのだそうです。
雲が流れる今日の天気は、見ての通り雨です。


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↑宿泊した茅葺き屋根の古民家越しに見た、標高860mからの眺め
 茅葺き屋根の向こうには、雨を運ぶ雲が山々の尾根を
 滑るように移動しています


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↑コスモスが風にそよぐ山里
 晴れていたらどんな風景が見られたのだろう


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↑向かいの山の斜面に、曲がりくねった道と民家が見えます

こんな山の斜面に、よく家を建てたなぁと関心してしまいます。
山肌の田畑を見てもどのような生活をしてきたのだろうかと
これまでの村人の生き様のようなものを想像してしまいます。

やはり、この生活は人を寄せ付けない深い渓谷に隠れ住んだ
平家落人だから出来たのでしょうか。
この山里には、平家落人伝説が多く残されていますが
話しが長くなるので、省略します(すみません)


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↑宿泊した築約100年の茅葺き古民家<浮生>
 朝になってようやく外観を見ることができました


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↑<浮生>には、隣のお家の前にある小径を通って行きます

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↑祖谷そばの白く可憐な花が咲いていました
 水はけの良いこの土地では、そばの栽培が盛んで郷土料理にもなっています


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↑すぐ近くの裏山には、養蜂用の巣箱が置かれていました
 巣を作るのは野生の蜂だそうです。
 なんだか贅沢!その蜜を食べてみたーい!


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↑散策して宿に戻ると、早朝の景色とは違った雰囲気になっていました
 ぼうや〜よい子だ寝んねしな〜♪
 「まんが日本昔ばなし」のBGMが聞こえてきそう




先進的な技術を向上させ世界に認められるようになった日本。
その高度成長期の時代でさえ祖谷は、それらに染まることなく
ずっとそのままでありつづけました。


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昔の日本では当たり前だったはずの風景が今もここにはある。
何もないが、何かがある場所。

風が草木を渡り土や雨の匂いを運び、
田畑に作物の花が咲き蜜蜂や昆虫が憩い、
渓谷を流れる水は清く自然を潤す。

山肌に家を建て、自分たちが食べる分の田畑を耕し、
道を造り、生活をする。

スーパーもコンビニもこの集落にはないけれど、
ほんの少し自分たちが暮らせるだけのものを自然から分け与えてもらい、
野生動物の領域に居を構え生きている。

無駄に自然を破壊し、家の敷地や田畑を広げたりはしない。
与えてもらったものを大切に育み、ひっそりと慎ましやかに
大自然と共に生きる人々の思想が今も脈々と息づいている。

特に意識しているわけでもなく、
それが当たり前になっている暮らしがそこにあるのです。



この続きは
日本三大秘境のひとつ「祖谷(いや)」と古民家再生 NO.2 で
お楽しみください。



※ 1.日本三大秘境に、岐阜県の白川郷、徳島県の祖谷、宮崎県の椎葉村があります。
  ちなみに、宮崎県の椎葉村にも平家落人伝説があります。


タグ:徳島

2012年09月07日

スティーブ・ジョブズ氏をも魅了した「西芳寺(苔寺)」


行けそうで、なかなか行けない、でも行ってみたい「西芳寺(苔寺)」。
たまに、そういう風に言う人を見かけます。

その理由は・・・、
京都の寺院では、めずらしい予約制だから。

予約方法や拝観料については
後ほど紹介するとして、拝観順が前後しますが
まずは「西芳寺(苔寺)」の庭園の魅力を、とくとご覧あれ!


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↑庭園への入口です♪ここへ初めて来たのは十数年前、何度来てもワクワクします

庭園に入ると、お坊さんが苔の種類や名前
造園に関する意味など庭園について
短い時間ですが説明をしてくださいました。

日本人はもちろん海外からの参拝者もいらっしゃって
お坊さんに色々、質問されていましたが
親切丁寧に応えられていましたよ。


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私にも気になることが・・・。
他の参拝者がたくさんいる中で聞くのは気がひけたので
人がいなくなるのを待ってお坊さんに、こっそり質問しました。

「噂で、アップルの創設者スティーブ・ジョブズさんが
プライベートで、西芳寺に来たと聞いたのですが本当ですか?」

明確なコメント内容は差し控えますが
答えは「Yes」でした!噂は本当でした。

スティーブ・ジョブズ氏の一家が眺めた苔の庭園を
皆さんもぜひお楽しみください!(ちょっとミーハーですが・苦笑)


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西芳寺の歴史
飛鳥時代、聖徳太子の別荘があったとされ、
奈良時代、行基によって別荘から寺院へと開創し、
室町時代、高僧であり作庭の名手だった夢窓疎石(むそう そせき)を
招請して禅寺として再興。

足利義政が銀閣寺を建てるとき
西芳寺の庭や建物を見本にしたことでも知られています。


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ビロード苔、スギ苔、ヒノキ苔など
約120種の苔が庭園を覆う西芳寺は、
緑の絨毯のような美しさから苔寺とも呼ばれています。

もともと枯山水の庭園だったのですが江戸時代末期ごろから
苔が庭園を覆うようになったそうです。

庭園(史跡・特別名勝)は、上下二段構え。
上段は枯山水、下段は池泉回遊式庭園で
黄金池は「心」の字を描いています。

この黄金池で、真言宗開祖である空海が放生会を行ったといわれます。

池の南岸には幕末に、岩倉具視が
隠れ住んだ湘南亭(重要文化財)があります。


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↑地面をなめらかに覆うビロード苔

聞くところによると
苔の管理は、結構大変なんだそうです。

湿気を好む苔ですが、
できるだけ自然の営みに任せたいとの思いから
日照りなど、よっぽどのことがない限り
水道水を使わず、雨だけで苔の管理をしているそうです。

また、園内に入ってくるタヌキやイタチ、イノシシ、サルなどの
野生動物たちの糞尿で苔が茶色く変色し、
枯れてしまうことがあるそうで、その対策にもおわれるとか。

苔の上に落ちた枯れ葉は、苔を傷めないように
柔らかい箒を使って掃くのだそうです。


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約9千坪の庭園は、四季を通じて様々な風景を見せてくれます。
とりわけ美しいのは、雨に濡れた苔の緑が一段と際だつ「梅雨時期」と
彩られた葉と苔のコントラストが見事な「紅葉の季節」!!


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↑岩倉具視が隠れ住んだ湘南亭(重要文化財)

西芳寺は、上賀茂神社、下鴨神社、東寺、金閣寺、銀閣寺などと一緒に
1994年「古都京都の文化財」として、ユネスコの世界遺産に登録されました。


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園内には、苔と共に大きな樹木も見ることができます。
この風景も素晴らしかった!


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悠々とした大樹を眺めていると
森の中にいるような気になります。


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↑真っ直ぐ上へと伸びる木々と苔が水鏡に映える

今日のような風のない日は、水面が鏡のように
美しい風景に広がりを与えています。
まるで、水中にも庭園があるかのようです。


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↑池の中には3つの小島があります

島へ渡る小さな橋が架かっていますが
誰も渡らないので、橋の向こうは苔で覆われ道がありません。


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↑岸に寄せられた小舟

映画のワンシーンのように
見る人それぞれの頭の中で小さな物語が始まる。
そこに浮かんでいるだけなのに不思議な世界観です。


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庭園の中というより、森の中のような風景です。

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ゆったりと包み込むような緑と木立。
何かが伝わってくるのに、その何かが分からない。
でも、温かいものだということだけは分かる。


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庭園を巡る間、何も考えていなかったことに気付いた。
これを「無」の状態というのだろうか。

心にこびりついた余計なものが、ビリビリ剥がれていく感覚。
たぶん、これからの私には不要なものなんだ。


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↑「西芳寺」入口の衆妙門

ここから、話しは変わります。
行けそうで、なかなか行けない「西芳寺(苔寺)」への
予約方法と参拝の流れについて紹介いたします。

参拝希望は「西芳寺参拝係」へ往復ハガキで
拝観希望日(第一希望・第二希望)・参拝人数、
代表者の氏名・住所・電話番号を明記し郵送。
ちなみに、時間指定はできません。

拝観の1週間前までに、ハガキが返信され手元に届きます。
これが拝観証になるため当日持参してください。
拝観料は1人3000円です。


DSCF9775.JPG 突然ですがここで、豆知識!

 衆妙門の左横の白壁をよくご覧ください。
 五つの横線が入っているのが分かりますか。

 この五つの横線は、天皇家ゆかりの
 寺院で見られるものなんですよ。

 寺院以外では、京都御所で
 見ることができます。


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 これから、寺院を参拝するときは
 壁もちょっと気をつけて
 見てみてください。

 色々、発見があって楽しいですよ!

 西芳寺では、瓦にも
 お寺の名前が入っていました!
 こだわりがスゴい。



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↑衆妙門をくぐり中へ進むと本堂が見えてきます

本堂の前では、お坊さんが「おはようございます」と
気持ちの良い挨拶で出迎えてくれます。

この本堂で、住職さんの説法・般若心経の唱和・写経などを
行ったのち庭園の見学となります。
(ちなみに、庭園だけの拝観は行っていません)

写経に書いた願い事は、祈りを込めて
本尊に永久奉納してくれるという本格的なもの。
そういった機会がなかなかないので、
貴重な体験ができました。ちょっと嬉しい。

聞くところによると拝観は1日1回で定員150名だとか。
景観の良い梅雨や紅葉の時期は、すぐ満席になるそうです。
シーズン以外でも1日100人前後の予約希望があり
日々、多くの人で賑わっているようです。



タグ:京都
posted by ショコラ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 神社仏閣