行けそうで、なかなか行けない、でも行ってみたい「西芳寺(苔寺)」。
たまに、そういう風に言う人を見かけます。
その理由は・・・、
京都の寺院では、めずらしい予約制だから。
予約方法や拝観料については
後ほど紹介するとして、拝観順が前後しますが
まずは「西芳寺(苔寺)」の庭園の魅力を、とくとご覧あれ!
↑庭園への入口です♪ここへ初めて来たのは十数年前、何度来てもワクワクします
庭園に入ると、お坊さんが苔の種類や名前
造園に関する意味など庭園について
短い時間ですが説明をしてくださいました。
日本人はもちろん海外からの参拝者もいらっしゃって
お坊さんに色々、質問されていましたが
親切丁寧に応えられていましたよ。
私にも気になることが・・・。
他の参拝者がたくさんいる中で聞くのは気がひけたので
人がいなくなるのを待ってお坊さんに、こっそり質問しました。
「噂で、アップルの創設者スティーブ・ジョブズさんが
プライベートで、西芳寺に来たと聞いたのですが本当ですか?」
明確なコメント内容は差し控えますが
答えは「Yes」でした!噂は本当でした。
スティーブ・ジョブズ氏の一家が眺めた苔の庭園を
皆さんもぜひお楽しみください!(ちょっとミーハーですが・苦笑)
西芳寺の歴史
飛鳥時代、聖徳太子の別荘があったとされ、
奈良時代、行基によって別荘から寺院へと開創し、
室町時代、高僧であり作庭の名手だった夢窓疎石(むそう そせき)を
招請して禅寺として再興。
足利義政が銀閣寺を建てるとき
西芳寺の庭や建物を見本にしたことでも知られています。
ビロード苔、スギ苔、ヒノキ苔など
約120種の苔が庭園を覆う西芳寺は、
緑の絨毯のような美しさから苔寺とも呼ばれています。
もともと枯山水の庭園だったのですが江戸時代末期ごろから
苔が庭園を覆うようになったそうです。
庭園(史跡・特別名勝)は、上下二段構え。
上段は枯山水、下段は池泉回遊式庭園で
黄金池は「心」の字を描いています。
この黄金池で、真言宗開祖である空海が放生会を行ったといわれます。
池の南岸には幕末に、岩倉具視が
隠れ住んだ湘南亭(重要文化財)があります。
↑地面をなめらかに覆うビロード苔
聞くところによると
苔の管理は、結構大変なんだそうです。
湿気を好む苔ですが、
できるだけ自然の営みに任せたいとの思いから
日照りなど、よっぽどのことがない限り
水道水を使わず、雨だけで苔の管理をしているそうです。
また、園内に入ってくるタヌキやイタチ、イノシシ、サルなどの
野生動物たちの糞尿で苔が茶色く変色し、
枯れてしまうことがあるそうで、その対策にもおわれるとか。
苔の上に落ちた枯れ葉は、苔を傷めないように
柔らかい箒を使って掃くのだそうです。
約9千坪の庭園は、四季を通じて様々な風景を見せてくれます。
とりわけ美しいのは、雨に濡れた苔の緑が一段と際だつ「梅雨時期」と
彩られた葉と苔のコントラストが見事な「紅葉の季節」!!
↑岩倉具視が隠れ住んだ湘南亭(重要文化財)
西芳寺は、上賀茂神社、下鴨神社、東寺、金閣寺、銀閣寺などと一緒に
1994年「古都京都の文化財」として、ユネスコの世界遺産に登録されました。
園内には、苔と共に大きな樹木も見ることができます。
この風景も素晴らしかった!
悠々とした大樹を眺めていると
森の中にいるような気になります。
↑真っ直ぐ上へと伸びる木々と苔が水鏡に映える
今日のような風のない日は、水面が鏡のように
美しい風景に広がりを与えています。
まるで、水中にも庭園があるかのようです。
↑池の中には3つの小島があります
島へ渡る小さな橋が架かっていますが
誰も渡らないので、橋の向こうは苔で覆われ道がありません。
↑岸に寄せられた小舟
映画のワンシーンのように
見る人それぞれの頭の中で小さな物語が始まる。
そこに浮かんでいるだけなのに不思議な世界観です。
庭園の中というより、森の中のような風景です。
ゆったりと包み込むような緑と木立。
何かが伝わってくるのに、その何かが分からない。
でも、温かいものだということだけは分かる。
庭園を巡る間、何も考えていなかったことに気付いた。
これを「無」の状態というのだろうか。
心にこびりついた余計なものが、ビリビリ剥がれていく感覚。
たぶん、これからの私には不要なものなんだ。
↑「西芳寺」入口の衆妙門
ここから、話しは変わります。
行けそうで、なかなか行けない「西芳寺(苔寺)」への
予約方法と参拝の流れについて紹介いたします。
参拝希望は「西芳寺参拝係」へ往復ハガキで
拝観希望日(第一希望・第二希望)・参拝人数、
代表者の氏名・住所・電話番号を明記し郵送。
ちなみに、時間指定はできません。
拝観の1週間前までに、ハガキが返信され手元に届きます。
これが拝観証になるため当日持参してください。
拝観料は1人3000円です。
衆妙門の左横の白壁をよくご覧ください。
五つの横線が入っているのが分かりますか。
この五つの横線は、天皇家ゆかりの
寺院で見られるものなんですよ。
寺院以外では、京都御所で
見ることができます。
これから、寺院を参拝するときは
壁もちょっと気をつけて
見てみてください。
色々、発見があって楽しいですよ!
西芳寺では、瓦にも
お寺の名前が入っていました!
こだわりがスゴい。
↑衆妙門をくぐり中へ進むと本堂が見えてきます
本堂の前では、お坊さんが「おはようございます」と
気持ちの良い挨拶で出迎えてくれます。
この本堂で、住職さんの説法・般若心経の唱和・写経などを
行ったのち庭園の見学となります。
(ちなみに、庭園だけの拝観は行っていません)
写経に書いた願い事は、祈りを込めて
本尊に永久奉納してくれるという本格的なもの。
そういった機会がなかなかないので、
貴重な体験ができました。ちょっと嬉しい。
聞くところによると拝観は1日1回で定員150名だとか。
景観の良い梅雨や紅葉の時期は、すぐ満席になるそうです。
シーズン以外でも1日100人前後の予約希望があり
日々、多くの人で賑わっているようです。
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