明石海峡大橋の袂、舞子公園の中に
「孫文記念館(移情閣)」があります。
この記念館は、中国の革命家・政治家・思想家である「孫文」を
顕彰する日本で唯一の博物館です。
もともとは神戸で活躍していた中国の実業家・呉錦堂の
海松別荘が前進で、のちに別荘の東側に
八角三層の楼閣が建てられました。
楼閣の八方の窓からは
六甲山、大阪湾、紀州、淡路島、瀬戸内海、播磨など
様々な風景や異なった趣を楽しめることから
「移情閣」と呼ばれるようになりました。
また、どこから見ても外観の三面が見えることから
当時は「舞子の六角堂」とも呼ばれていたそうです。
今から約100年前の1913年(大正2年)、孫文が亡命中に来神し
神戸の中国人、経済界有志が開いた移情閣での
歓迎会がきっかけで、この建物との関わりが始まったといわれます。
移情閣の外壁には、大小様々なコンクリートブロックが使われ
現存する国内最古のコンクリートブロック造の建物として評価されています。
1993年(平成5年)12月に「兵庫県指定重要有形文化財」に指定され、
2001年(平成13年)11月に「国の重要文化財」に指定されました。
↑八角形に作られた移情閣の造りや仕様は、見事の一言!
中央部のテーブルには、パソコンが置かれ舞子公園内や
移情閣についての説明映像が見られるようになっています。
↑緑の壁紙が凄く美しく、天井の仕様も素晴らしい!
天井の中央部の彫刻にも注目してください。
↑鳳凰と牡丹の彫刻の素晴らしさには、ため息がでます。
↑この緑の壁紙は「金唐紙(きんからがみ)」と呼ばれ
和紙と金箔で作られる日本の伝統工芸で、明治時代の製法で作られています。
表面はエンボスのように凹凸があり
模様が立体的に浮かび上がっています。
一見すると壁紙ではなく、漆喰を塗った壁に
色を付けたかのように見え、とても華やかです。
また、木枠と金唐紙との境目には、金のロープが施され
職人の細かなこだわりが見受けられます(写真右)
金唐紙は、明治から大正にかけて一世を風靡し、
鹿鳴館や国会議事堂を飾り、
海外では、バッキンガム宮殿に採用されたと伝えられています。
現在、国内で見られる金唐紙は、ごくわずかなんだそうです。
↑移情閣の内部にある階段にも金唐紙を仕様しており
木の腰壁と照明のほのかな明かりが、
大正ロマンの雰囲気を醸し出しています。
↑一方、孫文記念館の廊下の壁や天井は白で統一され、
絨毯の赤がひときわ目を引いていました。
1983年(昭和58年)11月、「移情館」は神戸華僑総会から
兵庫県に寄贈され、改修されました。
翌年の1984年11月12日、孫文の誕生日にあわせ
「孫中山記念館」として一般公開。
1994年3月、明石海峡大橋の建設にともない
いったん解体し、西南方向約200mの
現在の場所に移転・復元工事が行われ2000年4月に完成。
2005年10月「孫中山記念館」から「孫文記念館」に改称しています。
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