2012年08月05日

水神の気が満ちる「貴船神社・本宮」


京都・貴船の川床に続きやってきたのは「貴船神社」。
皆さんご存じ、水神と縁結びの神様です。

地域名は貴船「きぶね」と呼びますが、
貴船神社は、水の神様であることから濁らずに
「きふね」と読みます。

貴船神社は、叡山電鉄「貴船口」駅から
貴船川に沿って北上すると、貴船神社の
本宮、結社(中宮)、奥宮が順に鎮座しています。


奥宮
 ↑ 徒歩 約7分
結社(中宮)
 ↑ 徒歩 約8分
本宮
 ↑ 徒歩 約25分
貴船口駅

上記の各宮をクリックするとページが開きます!


願いが叶う参拝順というのがあり
まず「本宮」へ、次に「奥宮」へ、そして
その帰りに結びとして「結社」に参拝する『三社詣』が
古くからの習わしだそうです。


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↑貴船神社の本宮 二の鳥居 参道の入口

「本宮」のご神祭は、高龗神(たかおかみのかみ)
「結社(中宮)」のご神祭は、磐長姫命 (いわながひめのみこと)
「奥宮」のご神祭は、闇龗神(くらおかみのかみ)

「結社(中宮)」は、縁結びの神様。
「本宮」「奥宮」ともに同じ水神様といわれ
高龗神(たかおかみのおおかみ)の、高は山の尾根筋、
闇龗神(くらおかみのかみ)の、闇は深谷や谷間を意味し、
「龗(おかみ)」という字は「龍」を意味する古語だそうです。


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↑鳥居をくぐった目の前にある「白鬚(しろひげ)社」と大杉。
 長寿の御利益があるそうです。

 白鬚社の祭神の多くは「猿田彦大神」です。
 天孫降臨の際に先頭に立ち道案内したことから、
 導きの神としても崇められています。


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↑本宮へと続く石段。
 青もみじをはじめとする木々の緑と
 燈籠の朱色のコントラストが、すばらしい!!


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↑石段を登った先では、樹齢400年、樹高30mのご神木
 「桂の木」を仰ぎ見ることができます。


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↑根本からたくさんの枝が天に向かって伸び、
 上部では、生気を吹き出すように八方に枝葉を広げています。

その昔、貴船は「気生嶺」「気生根」とも書かれていました。
大地のエネルギー「気」が生ずる山、
「気」の生ずる根源という意味だそうです。

神道では、体内の気が衰えることを「気枯れ(けがれ)」といい、
古来より、貴船神社に参拝する人は皆
御神気に触れ、気力が充実することから
運気発祥(開運)の篤い信仰もあるそうです。


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↑貴船神社・本宮(2007年に改築)
 心願成就・家内安全・商売繁盛などの御利益があるとされ
 拝殿には、年齢・性別を問わずたくさんの参拝者が
 列をつくり賑わっています。みんな何をお願いしているのでしょうか。


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↑旧暦の七夕が近いこともあり、境内には願い事を書いた
 短冊を吊した笹の葉が飾られていました。


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↑貴船神社といえばこの「水占い」が有名。
 自分で選んだ、おみくじをご神水に浮かべると
 文字が浮かび上がり、内容を読むことが出来るんですよ。

本宮の社殿前の石垣からコンコンと湧くご神水は、
夏は冷たく冬は暖かい弱アルカリ性の水らしく、
今まで一度も枯れたことがないそうです。

この美味しい水は名水といわれ、
古来より茶人が茶を点てるのに珍重したとか。
今も飲むことが出来き、容器に汲んで持ち帰ることができます。


貴船の山から湧き出るご神水の傍らに「水五訓」が記されていました。

一、自ら活動して他を働かしむるは水なり
二、常に自ら進路を求めて止まざるは水なり
三、自ら清くして他の汚水を洗い清濁併せ容るるの量あるは水なり
四、障害に逢い激しくその勢力を百倍するは水なり
五、洋々として大洋を充たし、発して蒸気となり雲となり
  雪と変し霰と化し凝っては玲ろうたる鏡となる、
  而しかもその性を失わざるは水なり



しなやかさと、いざという時の強さ、
自在に姿を変える柔軟さを持ちながら水としての性は失わない。

私は、そんな風に生きているだろうか。



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龍穴の神気が漂う「貴船神社・奥宮」


願いが叶う『三社詣』で、二番目の参拝となる
貴船神社の「奥宮」へ向かう途中、同じ根から生えた二本の杉、
樹齢1000年のご神木「相生(あいおい)の杉」を見つけました。


『三社詣』の一番目、貴船神社・本宮 ←クリックするとページが開きます
三番目、貴船神社・結社(中宮) ←クリックするとページが開きます

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↑相生の杉。相生は「相老」に通じ夫婦ともに長寿を意味するそうです。

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↑遠くからみても、その大きさが良く分かります。

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↑杉並木と白い砂利が続く「奥宮」への参道。

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 神門の入り口にある
 小さな手水舎で
 手を洗い、口をすすぎ身を清めます。

 チョロチョロと
 流れ落ちる水は、冷たく
 夏の暑さを和らげてくれました。





水を司る神様、闇龗神(くらおかみのかみ)を祀る貴船神社・奥宮。

境内に足を踏み入れると神門を隔てただけで
こんなにも場の空気が変わるものなのかと
驚くほど静謐ながら物々しい雰囲気が漂います。


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↑奥宮の境内。伝説では、第18代の反正天皇の御代(1600年程前)の
 創建といわれています。


今は奥宮ですが、元々ここが本宮だったそうです。
この奥宮が鎮座している場所は、貴船の谷の一番低い所にあるため
しばしば水の害に遭い、天喜3年(1055年)に
貴船神社の本宮を現在の場所に遷したそうです。


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↑船形石(ふながたいわ)と本殿。

鎮座地としての伝説では、
浪花の津(大阪湾)に、黄色い船に乗った女の神様が現れ、
「われは玉依姫(たまよりひめ)なり、この船の留まるところに社殿を建てて、
そこの神様を大事にお祀りすれば国土を潤し、庶民に福運を与えん」
とのお告げがあり、その船は淀川、鴨川をさかのぼって
水源の地・奥宮辺りの川のそばから水の湧き出るところに船を留め、
そこに、御社殿を建てたと言われています。

この黄船を隠すため小石を積み上げたとされるのが船形石。
小石は、旅行や航海安全のご利益として持ち帰る人もいるそうですが
皆がそうすると大変なことになるので、やめたほうがいいでしょう。

白鳳6年(1300年程前)には、
本殿を造り替えたとの社伝が残っており
キフネの地名は、玉依姫の乗ってこられた
黄船から起こったともいわれています。


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↑奥宮の本殿横には「権地(ごんち)」があります。

実は、この奥宮・本殿の真下には「龍穴(りゅうけつ)」があります。

貴船の龍穴は、大和(奈良県)の室生龍穴や
備前(岡山県)のそれと共に
日本三大龍穴の一つに数えられています。

龍穴とは、龍の住処だと聞いたことがありますが
陰陽道では、四神相応などの哲学大系があり
風水では、大地の気が吹き上がる場所とされています。

また、日本の大きな龍穴とされるほとんどの場所には、
伊勢神宮や唐招提寺、日光東照宮といった
古社が鎮座していることが多いそうです。

龍穴そのものには、良質の水(泉、池、川)などがあり、
木々が繁り、大樹が存在する場合が多いとも言われています。


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↑貴船神社 発行のリーフレット「気生根」より(平成24年5月15日発行)

2011年12月29日、奥宮の本殿修復のため
150年ぶりの秘伝「附曳神事(ふびきしんじ)」が行われました。

その様子は、貴船神社のフェイスブックにも掲載されています。
ご興味のある方は、↑をクリック↑してください。

「決して誰も見てはならない神聖な龍穴。
龍穴の上で工事をしてはならない」とされています。

そこで、奥宮・本殿の修復工事では、隣接する権地に建物を
曳き移し修復を進め、完成すると建物を曳き戻します。

建物を移動させる時は、氏子一同烏帽子浄衣の白装束とし
「境内にいる全ての人間は、誰もしゃべってはならない」
との社伝に従い、神職をはじめ宮大工、氏子、一般参加者も
神の葉(榊・さかき)を口にくわえます。

(神の葉を加える神職、リーフレット中央の写真参照)

そして宮大工が振る御幣を合図に、少しずつ静かに動かして行きます。
(神の葉を加え御幣を振る宮大工、リーフレット右下の写真参照)

龍穴は、誰にも見られないように
建物の移動にあわせ、建物のすぐ横から白い布で覆い隠します。

(本殿の曳き移しの様子は、リーフレット左上・左下の写真参照)

フェイスブックによれば
附曳神事(ふびきしんじ)に関する資料が少なく
神事を行うのも大変だったとか。まさに秘伝さを伺わせます。

私も、見てみたかった。。。


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↑ご神木「連理の杉」
 連理とは、別々の木が融合している状態のことで
 男女・夫婦仲の良いことに例えられることもあります。
 この木は、杉と楓が和合した珍しい木です。




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縁結びの神様「貴船神社・結社(中宮)」


『三社詣』の最後の結び(締めくくり)となる
縁結びの神様が鎮座する貴船神社・結社(ゆいのやしろ)。


『三社詣』とは、貴船神社の願いが叶う参拝順のこと。
一番目の貴船神社・本宮 ←クリックするとページが開きます
二番目の貴船神社・奥宮 ←クリックするとページが開きます

貴船に多くの人々を引き付ける、縁をつなぐ力!!
祭神は縁結びの神様、磐長姫命 (いわながひめのみこと)。


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↑石階段を登ると結社の拝殿があります

縁結びと聞くと、男女の縁だけをイメージしがちですが
「縁」というのは、それだけではありません!!

子授けや就職、入学、企業間の縁結びなど
色んな縁が含まれています。

さて、あなたはどんな縁結びを願いますか。


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↑結社の拝殿と天乃磐船(重さ6トンの自然石)

平安時代中期の歌人、和泉式部(いずみしきぶ) も
夫婦の不和を嘆き、参拝したそうです。
その後、願いが叶い夫と復縁したという逸話は有名です。


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↑拝殿で、願い事!

縁結びを願う人は「結び文」を
結び合わせて祈願すると願いが叶うと言われています。

以前は、境内のススキなどの細長い草の葉を結び合わせて
縁結びを願っていましたが、今は、
本宮にある結び文に願いごとを書いて
結社の結び処に結びます。


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↑拝殿の奥にあるご神木、桂の木

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↑上へ上へと木(気)が伸びています。
 枝と枝の間には、何かが棲んでいるような不思議さが漂います。




その昔、磐長姫(いわながひめ)と
木花開耶姫(このはなさくやひめ)の姉妹がいました。

ある時、瓊々杵尊(ににぎのみこと)が
妹の木花開耶姫を、娶ることになりました。

その時、姉妹の父である大山祇命(おおやまつみのみこと)は
姉の磐長姫も共に奉ろうとしたのですが断られ
木花開耶姫だけが召されることに。

磐長姫は大いに恥じて
「我長くここにありて、縁結びの神として
世のため人のために良縁を得させん」と言って
この地に鎮まったといわれます。


人は自分がフラれたからといって
世のため人のために縁結びをしようと思うでしょうか。
これが、人と神様の違いなのか。



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